《健康》幸せの4因子

ストレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりするものです。その理由もメカニズムもさまざまです。でも、誰もが持っている力「エゴレジ」を高めることで、それぞれの状況に応じて自我のバランスをとる力を強化し、メゲたり凹んだりしても、すぐに立ち直る力を養うことが可能なのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、お手伝いします。

心の幸せというのは形がないので実感しにくく、目指しにくいものです。そこで脳・ロボット学者であり、「幸福学」を研究する前野隆司(慶応義塾大学)先生は、これまでの心理学の幸福研究から幸せに関連する心的要因を集め、約1500人の日本人にアンケート調査を実施し、その結果、幸せになるための4つの因子が分かったそうです。今回は、この4つの因子についてご紹介します。

🔴幸せの4因子

「やってみよう!」因子(自己実現と成長の因子)

「やるぞー!」という、エネルギーに満ちた感じの幸せです。これは、ドーパミンが出ていると言われます。ドーパミンが出た時っていうのは、元気も出てきます。「夢」や「目標」や「やり甲斐」を持ち、それを実現しようと努力し成長していくことが人の幸福感を高めます。競争ではなく、それぞれが多様な夢の実現を目指すことです。「地球上の人類、70億人が、70億通りのやり方で、小さくてもいいから自分らしさを見つけ、その70億分の1の個性を活かして、社会の中で自分らしく生きていくようなあり方」で、ワクワクできる趣味や仕事にトライしていれば、成長する実感や達成感が得られ、幸福感は高まるのです。

❐音楽や絵が好きなら、楽器を習ったり、絵を描いたり、メークを楽しむことも・・・
❐食べることが好きなら、新しい料理にトライしてみる・・・
❐運動したいと思うなら、腹筋5回、ウォーキング3分から始めましょう

「ありがとう!」因子(つながりと感謝の因子)

ありがとうと思っていると、脳にセロトニンとかオキシトシンとかいう愛のホルモンって呼ばれているものが出てきます。人と一緒に楽しんだり愛情に満ちた関係を築くこと、人に喜ばれること、親切な行為をすることなどによって私たちは幸せを感じます。

人間は社会的な生き物ですから、他人や社会とどういうつながりを持つかがその人の幸福感に大きな影響を与えます。

人と話すのが苦手なら、近所の人へのあいさつから始めてみましょう
人とつながる機会が少ないなら、地域のボランティア活動に参加してみましょう

「なんとかなる!」因子(前向きと楽観の因子)

自己肯定感が高く、ポジティブでいられることは、やはり幸せにつながります。「何か悪いことが起きたらどうしよう?」とか「どうせ私なんて」と考えるのではなく、「ちゃんとしたから大丈夫!」と自分に語りきかせることで、幸せを実感できるようになります。

ポジティブ思考やネガティブ思考は、ただ単に考え方の癖であり、持って生まれたものではありません。つまり、誰でもちょっとうまく意識を変えることができればポジティブ思考に生まれ変わることができるということです。

❐何か始めてうまく行かないときは、苦手だからこそ、上達する楽しさが味わえる・・と考えましょう

「あなたらしく!」因子(独立とマイペースの因子)

他人と比較せず自分らしくやっていける人は、そうでない人よりも幸福だといいます。人はすぐに他人と比べてしまいますが、それはあまり幸せには結びつかないというわけです。
私たちはついつい他人と比較することで安心感を得ようとしてしまいます。しかし、そうしてばかりいると常に他人の目が気になるようになってしまいます。人の目を過度に気にして生きるのがどれだけ息苦しいかは改めて言う必要ないでしょう。自分をしっかり持ち、マイペースに人生を歩めるようになることが幸せに生きる要因の一つだと覚えておきましょう。

❐自分に自信がないときは、理想の自分をイメージし、だんだんそれに近づけましょう。

🔴1つを伸ばせば他も伸びる幸せの4因子

大事なことは、これら4つ全部高い人が幸せなのです。「これはなかなかハードルが高いなあ」と思う方がおられるかもしれません。けれども、幸せの4つの因子はどれかを伸ばせば、他も伸びます
例えば、「前向きになれない」という人に、「もっと楽観的になれば」と言っても、それができないから悩んでいるのです。そういう人は、根拠のない楽観よりも「成長しよう」とか「仲間を持つこと」とかが受け入れやすいはずです。仲間がいれば、いざというとき助けてくれるし、応援もしてくれるわけです。実は、簡単と言えば簡単です。自分ができないと思うなら、友達に頼って、一緒にどうやっていこうかを考えて、そして自分は自分らしく成長して、できない所は、できる友達に任せる。そしたら安心して楽観的になれるでしょう。

ダニエル・カーネマンらは、感情的幸福は、年収7万5000ドルまでは収入に比例して増大するのに対し、7万5000ドルを超えると比例しなくなる、という研究結果を得ています。一定以上の経済的な豊かさやモノの豊かさは、必ずしも幸せをもたらさないのです。

長続きする幸せを手に入れるには、「まず、幸せになる決断をする。そして、何かをやってみる。新しいことにチャレンジしてみること」と前野先生は指摘されています。エゴレジをアップするためにも、ぜひ覚えておきましょう。「ありがとう!」「やってみよう!」「私らしく!」「何とかなる!」の4つです。

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次回はまたエゴレジ関連の話題をご紹介します。

小野寺敦子

エゴレジ研究所代表。心理学博士。目白大学人間学部心理カウンセリング学科教授。同校心理学研究科大学院修士課程教授。同校心理学研究科博士後期課程教授。臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問。
NPO法人こどものくに代表理事。

畑 潮

エゴレジ研究所GM。GCDFキャリアカウンセラー

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