え!?親が認知症だと自宅やアパートを売れない??

堀内貴敬

司法書士リーガル・パートナー代表司法書士 22歳で司法書士の資格を取得し、15年に渡り不動産や相続問題、相続対策のコンサルティングを行ってきた。相続対策について、法律だけでなく税務や不動産、保険などの視点も含めた総合的なアドバイスが専門分野。

やってきた「大認知症社会」

超高齢社会に突入して久しい日本ですが、具体的に何人の方がこれから認知症となる見込なのかご存じですか?厚生労働省の推計によると、2025年には約700万人の方が認知症となるとされています。ちょっとイメージしづらい数字ですが、千葉県の人口は約628万人(令和3年1月1日現在)ですから、本コラムを書いている2021年4月から約4年後には、千葉県の人口を軽く超えるくらいの方が認知症と診断される社会となるわけなんです。これは、2025年時点での65歳以上の高齢者の5人に1人にあたる割合です。このメールマガジンをお読みいただいている貴方のお父様やお母様も、叔父様や叔母様も、無関係ではありませんよね。まさしく、私たちはこれから「大認知症社会」に突入していくわけです。医療や介護の問題が特に影響が大きいですが、「大認知症社会」における法律の問題も決して無視できないものなんです。

ひっそりと行われた民法の改正

皆さんは昨年(令和2年)に、「民法」という皆様にも深く関わりのある法律が改正されたことをご存じですか?相続に関することや契約に関するルールが大幅に変更になったんです。これは明治以来の大改正とも言われ、例えば「配偶者居住権」と言われる新しい権利が生まれたり、我々法律系専門職もたくさん学びなおしを迫られた本当に大きな出来事でした。そのような注目を集める新制度などの影に隠れていますが、実は以下のような条文がそっと追加となったことはあまり知られていません。

民法第三条の二
法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。

なんだか意味がわかるようなわからないような文章ですが、要するにこういうことです。

「判断能力がない人は、契約をはじめとする法律的な行為をしても、効力が無い」

つまり、認知症などで判断能力を失ってしまった場合は、不動産を売ったり買ったり、保有している株式や投資信託を売ったり買ったり、定期預金を解約したり、遺産分割の協議をしたり、誰かに何かを贈与したり…といった、法律系の契約や行為が出来なくなってしまうんです。こんな状態のことを、「財産凍結」と最近では表現しています。
例えば、高齢の親御さんをやむなく介護施設に入居しようと思っても、財産が凍結され「預金が引き出せない」「不動産を売却できない」「株式・投資信託を売却出来ない」といった事態が想定できますね。

「凍結」問題

今まで見てきたように、認知症などで判断能力を失ってしまった場合は、法律系の契約や行為が出来なくなってしまいます。そんな「財産凍結」問題の対象となりうる筆頭は、やはり認知症患者の皆様(2025年には700万人!千葉県の人口以上。)ですが、それ以外にも「脳梗塞」「脳卒中」「事故による外傷」といったきっかけだってあり得る話。あなたもいつか当事者になる可能性がありますよね。
しかし、ご安心ください。もちろん、そうした問題への対策は、正しい情報と少しの決断力があれば必ず講じておくことが出来ます!そのキーワードになるのが、「家族信託」なんです。これについては、次回以降さらに詳しくお届けしますので、楽しみにしていてくださいね。

プロフィール

司法書士リーガル・パートナー代表司法書士。22歳で司法書士試験に合格し、都内司法書士事務所で経験を積んだのちに独立。法律、税金だけでなく不動産活用や保険など専門知識を横断的に活用した相続対策の提案が専門分野。企業からのご依頼や自主開催のセミナー講師も多数登壇。

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