《健康》エゴレジと読書

ストレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりするものです。その理由もメカニズムもさまざまです。でも、誰もが持っている力「エゴレジ力」を高めることで、それぞれの状況に応じて自我のバランスをとる力を強化し、メゲたり凹んだりしても、すぐに立ち直る力を養うことが可能なのです。

エゴレジ研究所の小野寺と畑が、お手伝いします。

🔴読書は健康にいい?! 

イギリスのファッション雑誌『STYLIST』は、「読書は健康にもメリットをもたらす効果がある」という研究内容について報告しています。読書は知識を深め、感情を豊かにする効果があるといわれていますが、実はそれだけではありません。

東北大学の川島隆太教授によると、読書は脳全体を刺激するため、痴呆や脳の老化防止に効果があるそうです。中でも、『前頭前野』と呼ばれる部分が、特に刺激を受けていることが明らかとなりました。前頭前野とは、人間の思考や言語、筋肉の働き、記憶力や感情をつかさどる『脳の司令塔』として働く重要な場所です。そこが刺激をうけることで「視覚・記憶力・判断力」が一度に活用され、脳の活性化につながるので、いつまでも元気に過ごすことが期待できるようです。

🔴脳や体に与える読書のメリット

専門家の研究によると、読書は単なる娯楽にとどまらず、私たちが考えている以上に心身の健康にいい影響があることが判明しています。

1.ストレスの削減
英サセックス大学デイビッド・ルイス博士が2009年に行った調査では、音楽鑑賞やコーヒーや紅茶、散歩などのリラックス法を押しのけ、読書がもっとも効果的なストレス解消法に選ばれました。その研究によると、一日たった6分の読書がストレスを68%も削減する効果があったとされています。読書の際に必要な集中力が、心拍数を下げ、筋肉の緊張をほぐすためだとされています。

2.脳の働きを助ける
雑誌『Brain Connectivity』が2014年に発表した研究によると、フィクションを読むことで想像力が働き、結果「理論的な考え方」の発達を助けることになるそうです。少し専門的で分かりにくいですが、簡単に言うと「小説は脳を刺激してよい」ということ。

たとえば、スペインの研究者らは、「シナモン」という単語を読むと、嗅覚に関する脳の領域が活性化することを発見しました。同様に、フランスの研究者らは、行動に関する文章を読むと(例:パブロがボールを蹴った)、脳の動作に関する部位「運動皮質」が刺激されることを突き止めています。

さらに専門家によると、子供たちにお話を聞かせることは、脳の発達を助ける効果もあるようです。

3.記憶力を助ける
心理学者のAnne Cunninghamによると「読書という行為は非常に複雑な『認知力』が必要になる行為である」という。つまり 読書は脳に情報を記憶する機能を助ける効果があるというのだ。読書を続ければ続けるほど、あなたの脳は新しい記憶をすることになり、結果、研ぎすまされてより賢くなるということです。

4.脳の働きを助ける
2013年に出版された医学専門誌『Neurology』に掲載された研究結果によると、読むこと、手紙を書くことは、老化した脳を助ける効果があるそうです。55歳以上の被験者200人を6年に渡って観察したところ、被験者は 「読み書きをすることは、人生における過去のさまざまな感情を思い出すことになる」と答えています。

また、オックスフォード大学、神経学科の名誉教授であるJohn Stein氏は「読書は脳全体を使う、積極的な活動である」と指摘しています。私たちは読書中、ただ物語を追っているのではないのです。私たちの脳は、物語で起こっていることを実際に体験しているかのように想像することで、活性化するということです。実際に読書中の脳をMRIでスキャンしたところ、物語の中で風景やにおい、音といったものを追体験することにより、さまざまな脳の領域が活性化され、新しい神経回路が生まれていることがわかったそうです。残念ながら、ゲームやTVでは同じ現象は起きないそうです。

また、『音読』は、視覚や判断力に加え、「口と耳」を使うため、脳細胞はより刺激を受け、黙読以上の効果があると言われています。そのほか、「感想文を書く」、「本の内容を人に話す」ことなども脳の活性化につながるそうです。

5.人間理解を高める
トロント大学認知心理学名誉教授で小説家、『Such Stuff as Dreams: The Psychology of Fiction』の著者でもあるキース・オートリー博士は、「遺伝学に関する本を読めば、遺伝子のことを学べます。フィクションを読めば、人について学ぶのです。他人とあなた自身についてです」と述べています。その理由は、読書は他人の思考や気持ちに深く入り込む独特な機会となり、それが共感する力を高め、社会的な能力も向上させることが研究でわかっているからです。

オートリー博士は次のように述べています。『自分だけの個人的な世界の外側に存在する、ほかの社会に暮らしているさまざまな人々を知ることができる。それが読書のもっとも大きなメリットなのです』。

6.幸せな気分を高める
 物質的なものよりも人生経験が人を幸せにすることは多くの研究で示されていますが、それだけではありません。『Journal of Consumer Psychology』誌に掲載された研究によると、書籍のように、人生経験を高めたり、作り出したりするよう設計された体験型プロダクトは、全体的に幸福度をアップさせることがわかりました(ちなみにスポーツグッズ、ビデオゲーム、楽器などにも同じ効果があります)。

読書はまた、充実感を得るのにも役立ちます。ノーステキサス大学の研究で、年齢が高くなるほど、読書や学ぶことを続けている人のほうが人生により満足していることがわかっています。リバプール大学の「Centre for Research Into Reading, Literature and Society(読書、文学および社会の研究センター)」のJosie Billion氏が運営するイギリスの「Quick Reads」の研究によると、4000人以上の成人の調査によって、定期的な読書習慣が健康と幸せ両方に与える影響に関して、驚くべき事実が明らかになったのです。1週間に30分以上読書する人は、生活の満足度が20%以上高いそうです。

🔴紙の本で読む

以上、読書がもたらす健康へのメリットを紹介しましたが、最近では電子書籍で本を読む人も少なくないでしょう。iPhoneで本を読む人も増えています。ところが、同じ本でも電子タブレットで読むのと、紙の本で読むのでは、人間に与える効果が違ってくることもある研究で明らかになっています。

「電子機器の光を寝る前に見ると、睡眠が浅くなる」というのは、聞いたことがあるかもしれませんが、それが電子書籍でも当てはまるようです。寝る前の読書は紙の本の方が、睡眠にも健康にも効果的とのこと。この点に気をつけて、健康にもよい読書生活を楽しみたいものです。

多くの専門家が、心を落ち着け、自然に目が閉じるように、寝る前の読書を薦めています。秋の夜長。お気に入りの本を読んでみませんか。ほんの少しの時間を本の世界に遊ぶことで、その日の出来事から解放されて、ちょっと幸せな気分が味わえるかもしれません。たとえありふれた心配事があっても、読書はおそらくその助けとなるでしょう。

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次回はまたエゴレジ関連の話題をご紹介します。

小野寺敦子

エゴレジ研究所代表。心理学博士。目白大学人間学部心理カウンセリング学科教授。同校心理学研究科大学院修士課程教授。同校心理学研究科博士後期課程教授。臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問。
NPO法人こどものくに代表理事。

畑 潮

エゴレジ研究所GM。GCDFキャリアカウンセラー

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