《健康》エゴレジとポジティブ感情

ストレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりするものです。その理由もメカニズムもさまざまです。でも、誰もが持っている力「エゴレジ力」を高めることで、それぞれの状況に応じて自我のバランスをとる力を強化し、メゲたり凹んだりしても、すぐに立ち直る力を養うことが可能なのです。

エゴレジ研究所の小野寺と畑が、お手伝いします。

🔴ポジティブ感情はなぜ必要か?

感情に関する心理学的研究では,これまで圧倒的にネガティブ感情が対象とされてきました。その主な理由は,ネガティブ感情とポジティブ感情の比率が約7:3とネガティブ感情のほうが多いこと,また恐れは逃走行動に関係した感情であるというように,ネガティブ感情はある特定の行動と結びついている場合が多いこと,また何よりもネガティブ感情は自律神経系の活性化をもたらし,その持続が心身の健康に悪影響を与えることが報告されてきたことによるものと思われます。

これに対し,喜びなどのポジティブ感情は,その存在意義が明確でなく,あまり研究されてきませんでした。ところが,最近,ポジティブ感情を扱った研究が報告されるようになり,その結果,ポジティブ感情はある特定の行動と結びついているものではなく,ポジティブ感情を経験することが創造的な思考活動や学習機会を増加させるといったように,人々の思考─行動レパートリーを広げ,さまざまなコーピングを可能にするという可能性が指摘されだしました。また,ポジティブ感情には,ネガティブ感情によって高められた,嫌な気分や心拍率,血圧などの自律神経系の亢進を,素早く元に戻す元通り効果(undoing effect, Fredrickson & Levenson, 1998)といった機能があることも示されています。つまり,人々が逆境やストレスに直面したとき,その中にポジティブな意味を見いだすことで,思考や行動のレパートリーが拡大し,さまざまなポジティブな資源を手に入れることを可能にし,それがさらにポジティブな感情,経験への遭遇を増加させるといった上向きの螺旋を生み出し,結果としてウェル・ビーイングや健康の増進をもたらすと考えられます。

さらに驚くべきことに,ポジティブ感情(たとえば笑いや楽観主義)がナチュラルキラー細胞の増加をもたらし,免疫力を高め,ガンの再発のリスクを減少させることや,不登校の子どもが吉本新喜劇を見に行ったのをきっかけとして,登校するようになった事例なども報告され,ポジティブ感情はネガティブ感情にとらわれていた状態からの脱却のきっかけの役目を果たしているのではないかとも考えられるようになってきました。

🔴ポジティブ感情の効用

ノースカロライナ大学で、ポジティブ感情の研究において数々の賞を受賞する心理学者のフレドリクソン教授は、「悲しみよりも喜びの方がいいと皆さん知っています。しかし、それはポジティブ感情の表面的な評価に過ぎません。心理学的にポジティブ感情が、人生に決定的な役割を果たすことを理解してもらうことを願っています」として、以下のような効用を述べています。

■1:ポジティブ感情は気分がいい
一見、当たり前のようですが、ポジティブ感情がいい気分を引き起こすのには理由があります。私たち人間は、ポジティビティを欲するように作られているのです。
ただ、薬物やギャンブルなど中毒性のものは偽物。また食や性など、身体的なものは遠い親戚と言えます。ポジティブ感情は気分がよくなるだけでなく、人生の中で重要な役割を担うということも認識しておくべきでしょう。

■2:ポジティブ感情は精神の働きを広げる
ポジティブ感情は精神の働きを広げ、視野を拡大するとされています。効果は一時的とはいえ、大事なゆとりを生じさせるのです。ゆとりは精神にとって大切な働きをします。

■3:ポジティビティはリソースを形成する
ポジティブ感情は人をよい方向に向かわせ、成長させます。かすかなポジティブ感情でもやがて持続するリソース(資源)が形成されるのです。

■4:ポジティビティは回復力を強化する
ポジティブ感情は立ち直る力をつける、知られざる特効薬になります。ストレスフルな状況や逆境のとき、リセットボタンとなるのがポジティブ感情です

🔴ポジティブ感情とネガティブ感情の比率

ネガティブ感情に対するポジティブ感情の比率をポジティビティ比というのですが、具体的なポジティビティ比の指針を出したのが心理学者マルシャル・ロサダです。彼は、実験により豊かな人生を送るためにはポジティビティ比率が3以上になる必要があると結論づけました。

この「ポジティブ感情:ネガティブ感情=3:1」(ポジティビティ比率=3)はロサダラインとよばれており、心理学者のフレドリクソンが書いた「ポジティブな人だけがうまくいく3:1の法則」(日本実業出版社)でも紹介されているので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。

普通の人のポジティビティとネガティビティの比は2:1とされ、多くの調査結果でも証明されています。この比率が、3:1を超えると変化が起こり、気持ちが生き生きとしてくるといのが、フレドリクソン教授の考えです。

最も重要なのは、自分の選択でポジティビティ比は上げることができるということ。この点を踏まえておきましょう。豊かな人生を送るためには、日常生活においてポジティブ感情を多くすることが大切ですが、具体的には、ポジティブ感情がネガティブ感情よりも多くなるように日々を過ごせば良いということです。ネガティブ感情が一つ生まれたら、ポジティブ感情を3つ生み出すような行動を起こせばいいのです。

フレドリクソン教授によれば、

ポジティブ感情の状態によって,
新しい発想や活動人間関係に〈拡張〉が生じ,それによって,
③社会的サポートやレジリエンス,スキル,知識といった個人の資源が〈形成〉され,

それが健康状態や生存,充実という人生の大切なアウトカムを促進することになり,このことがさらに,ポジティブ感情を生み出すとされています。

エゴレジの力をアップするには、ポジティブ感情は大切な要素です。

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次回はまたエゴレジ関連の話題をご紹介します。

小野寺敦子

エゴレジ研究所代表。心理学博士。目白大学人間学部心理カウンセリング学科教授。同校心理学研究科大学院修士課程教授。同校心理学研究科博士後期課程教授。臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問。
NPO法人こどものくに代表理事。

畑 潮

エゴレジ研究所GM。GCDFキャリアカウンセラー

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