《マネー》第18回「保険の組み立て方講座~老後/その4~」

水原 曜(みずはら ひかる)

2014年 住友生命保険相互会社東京本社入社。
「人生最後の転職先に保険会社を選んでしまう」という大ポカを犯してしまうもどうにか乗り越え、2017年4月より指導職に。部下に踊らされる毎日。
個人、法人問わず、フローとストックのバランスを重視した中長期的「無理しない」リスク対策のコンサルティングが最も得意です。

第18回「保険の組み立て方講座~老後/その4~」

今回は年金に絡めて、老後について総括します。今年2月に閣議決定された「高齢社会対策大綱」。公的老齢年金の受け取りを70歳以降にできちゃうよ、だってみんな元気だし働くじゃんね、という内容です。一般的に会社員であれば60歳で定年を迎え、再雇用で65歳まで働くのがだいたいの流れ。自営業の人なら好きなだけ働き続けることができます。弊社の個人年金保険をご契約のお客様も、本来年金を受け取る60歳になったタイミングで「今貰っても困るんだよね、働くから」と受け取りを65歳まで遅らせる方が増えています。実際現在の老齢基礎年金も、受け取りの年齢を早めたり遅くしたりすることが可能です。仮に70歳まで遅らせたとすると、本来もらうはずの年金が42%もアップして受け取れちゃう。この先年金の支給額が減っていくのであれば、時期をずらして1円でも多くもらった方がお得なのは確かです。

てな話をすると「やっぱり遅らせた方がいいのね」と思われる方も多いかと思いますが、私個人は「欲しい時にもらえばいいのでは?」と考えます。損か得かを考えているうちに死んでしまったら元も子もないからです。総務省統計局によれば、60~69歳までの夫婦二人世帯の平均生活費は約29万円。70歳以上の世帯だと約23万円。75歳以上に絞ると約21万円まで下がります。貯金が減るからという理由もあるでしょうが、男性の健康寿命は約70歳、女性は約73歳、使いたくても使えなくなってくるというのが実情だと思います。

お客様とお話をしていていつも気になるのですが、みなさん「老後は3,000万円必要らしい」とか「いや1,000万円で何とかなるらしい」とか、色々な情報はお持ちなのですが、「ではあなたはその時月いくらでどんな生活をしたいのですか?」と尋ねてみても、「えー、まぁ普通の生活レベルでいいんだけども」とあいまいな返答しかこない。「普通の生活」っていくらでしょう?具体的な金額に置き換えていないので、結局は「やっぱ5,000万は必要じゃない?!」と大きな金額に揺さぶられてしまう。例えば「田舎で畑仕事をしてのんびり暮らしたい」のであれば、どの土地に暮らすのか、その土地の平均的な生活費はどれくらいなのか、医療や福祉制度はどうなのか、くらいは最低でも知っておく必要があります。個人的には40歳を過ぎたら自分の描く老後が実現可能かどうかの検証を少しずつでもいいから始めた方がいいと思います。なぜなら、お金を貯めるのも増やすのもある程度時間が必要で、時間が必要ということは限界があるということ。余程の事がない限り昨日まで100万円だった貯金がいきなり1億円になったりはしないし、昨日まで手取り25万円だった仕事が今日から100万円になったりもしないのです。

ちょっと世知辛いお話になってしまいましたが、「足るを知る者は富む」との言葉があります。老後を考える時のベースは「今の自分でどこまで実現できるかを金額に置き換えるシビアさ」だと私は考えます。この「足るを知る」で満足するのもアリです。が、それだけじゃ人生面白くない、ここを最低ラインと考えて年収を上げるべくキャリアアップに励むのもよし、投資に励むのもよし、宝くじを買い続けるのもよし。どの方法を選ぶにせよ、自分の求めるゴールを明確にしていないと、72歳くらいで「何か違う」と考えこんじゃう可能性だけはどんどん高くなる。「老後を考える」とは、「今の自分との対話」でもあるのです。

 

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