《マネー》第16回「保険の組み立て方講座~老後/その2~」

介護保険制度改正のポイントについて引き続きお話しします。2つ目のポイントは「地域格差」です。実は今春からなのですが、高齢者の要介護度が改善した自治体を財政支援するインセンティブ制が導入されます。これは、要介護度1以上の利用者について、運動機能改善で要介護度を改善、長期間同じ要介護度を維持した自治体に、厚労省が「よく頑張りましたね」とお金をくれる、という制度です。一見とってもよさげに見えるのですが、これ「インセンティブ」の名の通り、成功報酬型なのです。はいここ注目。

膨らむ社会保障費を抑えるべく誰もが考えるのが「介護状態にならなきゃいいんじゃん」。乱暴ですが仰る通り。ではどうやって?厚労省はまず現場サイドの自治体にプランニングさせました。そしてそのプランニングを精査。「ほいじゃ頑張ってね」とOKが出たプランが、各自治体で実行されます。この時お金は出ません。各自治体が自腹を切ります。

だからどの自治体もインセンティブが欲しい。インセンティブを受けるのは市区町村だけではなく、都道府県も「バックアップお疲れ」で頂戴します。しかし高齢者は「お世話」して欲しい。懸念されるのは税収が少なく高齢者の多い自治体で、適正な要介護度が付与されなかったり、必要なサービスが受けられなかったりする可能性があるという点です。また介護からの自立は介護事業者にとっても問題です。言葉は悪いですが、経営的に見ると「お客様が減る」わけですから。

なので、今後は各自治体がどのような「姿勢」で介護問題に取り組んでいるのかをチェックする必要があります。この取り組みで有名なのが和光市です。行政の担当者が地元住民と事業者の意識改革に取り組んだ結果、お世話型ケアマネジメントから自立支援型へと、市全体がシフトチェンジすることに成功しました。この「和光市方式」を取り入れた荒川区も、徐々に自立支援型へとシフトしています。和光市方式が成功した一因は、行政の「姿勢」にあるといわれています。責任者が通常3年の配置転換の期間を超えて7年も担当し続け、説得と改革に根気よく取り組んだのだそうです。

同じ身体状態でも、自分が受けられるサービスやそれに伴う生活の質が「住むところ」で左右される。これはとても怖いことです。例えば腕を骨折して長期入院したのち軽度認知症を発症したとします。「誰かが毎日来て食器を洗ってくれてます」が、数キロ離れた隣の自治体では「週3回コミュニティセンターに通ってワイワイしながら機能訓練してたら、ヘルパーさんと一緒に食器が洗えるようになりました」に変わったりもするのです。

だからといって住み慣れた土地を離れるのは辛い、と考える人もたくさんいるでしょう。要は、自治体の方針も含めて、自分がどんな介護を選ぶのかあらかじめ考えておくことが大切ということです。そこにはお金の問題が当然絡んできます。さて、皆さんが選ぶ終の棲家では、どんな介護が準備されていますか?

水原 曜(みずはら ひかる)

2014年 住友生命保険相互会社東京本社入社。
「人生最後の転職先に保険会社を選んでしまう」という大ポカを犯してしまうもどうにか乗り越え、2017年4月より指導職に。部下に踊らされる毎日。
個人、法人問わず、フローとストックのバランスを重視した中長期的「無理しない」リスク対策のコンサルティングが最も得意です。

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